悪魔をモチーフにしているのか、黒のロングコート姿だ。

 高志くんの真面目なイメージで悪魔はどうなんだろうと思うけれど、見た目だけで言えば結構似合っている。


「この間はすまない。君と久保が保健室まで運んでくれたそうだな?」

「ああ、うん。もう体調は大丈夫なの?」

 あれから数日は経っているから体調は良くなっただろうけれど、顔を合わせる機会がなかったからちゃんと様子を見られたのはこれが初めてだ。

「ああ。熱も引いたし、しっかり休ませてもらったから……その、恥ずかしいところを見られた……星宮さんにも無理しないよう言われていたというのに……」

 本気で恥ずかしいのか、頬を染めてしおらしくしている高志くん。

 確かに無理しないでと言ったけれど……。


「気にしないで。坂本先輩が高志くんに自分の限界を知って欲しくて無理させたところもあるみたいだし、高志くんの責任じゃないよ」

 保健室での坂本先輩の言葉を思い出しながら話す。

 将来を見据えてやったことで、いずれは高志くんのためになることだって。

 それでもちょっとやりすぎなんじゃないかとは思うけど……。


「だとしても、その……倒れるとき、君を……巻き込んでしまったようだしっ!」

「巻き込んでって、押し倒してきたこと?」

「おしっ⁉ あ、ああ……」

 なんだか一々反応が大げさだけれど……本当に大丈夫なのかな?