今までも女友達や如月さんに髪を触られたことはあるけれど、こんなに緊張してドキドキしたことなんてない。

 幹人くんの大きな手が、優しく髪に触れる。

 頭を撫でるようにして、そのままゆっくりと梳かれた。


「……綺麗だな……」

 ドキッ

 ポツリと、自然と漏れたような言葉にあたしの心が反応する。

 女とは違う硬い手が、あたしの頭を包むように触れた。

「いい匂いするし……かわいい……」

「っ⁉ っ⁉」

 今までの幹人くんだったら口にしないような甘い言葉。

 一体全体、何がどうなってこんなことを言うのか。

 顔に熱が一気に集まったあたしは、驚きすぎて声も出せず彼の胸に顔を埋めていた。


「はぁ……メチャクチャ緊張するけど……」

 色気すら感じる吐息が耳の近くで聞こえる。

「こうして美来を腕の中に閉じ込めておけるのは俺だけなんだって思うと……嬉しいもんだな……」

「~~~っ‼」

 もはや声にならない悲鳴だった。

 今までにないくらい顔が熱い。
 きっと、誰が見ても顔赤いよって言われるくらいになってると思う。


 あまりの甘さに耐え切れなくて、あたしは更に幹人くんにしがみついてしまった。

「美来?」

 でもそのせいで彼に疑問を持たせてしまう。