ドッドッドッと、振動まで伝わってきそうな音。


 幹人くんも、あたしと同じように感じてくれてるのかな?

 それを確かめるように、あたしもそっと幹人くんの背中に手を添えた。


「っあ、わりぃ。苦しかったよな?」

 あたしの手のひらが幹人くんの背中に当てられると、彼はハッとして少し慌てた口調で言う。

 同時に腕が緩んで、優しい抱擁になった。

「ううん、大丈夫」

 むしろちょっとだけ残念な気分になる。

 ギュッと強く抱き締められると、その強さの分だけ幹人くんがあたしを思ってくれているのだと感じるから。

 でもずっとあのままだと本当に苦しくなってしまうだろうから、緩めてくれて良かったんだと思う。


「……」
「……」

 また、無言になってしまった。

 でも気まずい感じはしない。

 お互いの体温を感じて、大きく鳴っていた胸の鼓動も幾分落ち着いてきた。

 ちょっと照れるけれど、好きな人の存在を直に感じて幸せな気分になる。


 洗剤の香りかな?
 石鹸のような爽やかで優しい香りがする。

 ……幹人くんの匂いだ。

 その香りを感じて、またドキドキと心臓が早鐘を打つ。