「……っ」
「……」

 どちらも無言になって、より緊張してしまう。


 まだ触れていなくても、この近さならお互いの体温を感じとれて……。

 幹人くんの熱い体温を知って、あたしも熱くなってきた。

 トクトクと少しずつ心音が早くなっているのが分かる。


 あ、マズイ……幹人くんには偉そうなこと言ったくせに……。

 あたしも、かなり緊張してる。
 今のあたしの顔、絶対に赤いよ。

 それくらい全身が熱くなってきてるもん。


「へへ……あたしも緊張しちゃうかも……照れるね」

 熱さを誤魔化すように幹人くんを見上げて笑う。

「っ!」

 すると、いつものように息を呑んだ幹人くんは――。

「美来っ!」

 思わず、というようにギュウッとあたしを抱きしめた。


「っ⁉……え?」

 こんな風に力任せに抱きしめられるのは初めてだ。

 幹人くんの引き締まった筋肉に押されてちょっと苦しいけれど……それ以上に嬉しかった。

 さっきよりも直に体温を感じて、お互いの熱が混ざり合うかの様。


 大好きな人と抱き合うのは、こんなにも幸せになれることなんだなぁ……。


 温かくて、熱くて、それでももっと鼓動は駆け足になって……。

 でも、あたしの心臓の音よりも幹人くんの心臓の方が凄く大きく聞こえる。