たくさんの差し入れを貰って困っていたあたし。

 相談したすみれ先輩は、差し入れを予約制にしたと報告してくれた。

 予約制にして、一日一人だけという事にしてくれたらしい。

 おかげでちゃんともらったお菓子を消費出来る。

 奈々は冗談交じりで「あたしたちの分のお菓子なくなっちゃったー」なんて言っていたけれど。


「ハロウィンパーティーのお菓子も調理部の方で少し作らせてもらうことになったんです。美来様、食べてくださいね!」

 頬を紅潮させながら報告してくる後輩は可愛い。
 和やかな気分になって思わずフッと微笑んだ。

「そうなんだ。あなたの作るものはいつも見た目も綺麗で素敵だから、楽しみだよ」

「っ⁉」

 途端、息を呑み胸の辺りをギュッと掴んだ後輩。

 大きく見開いた目であたしを凝視している。


「あの……大丈夫?」

 なんだか呼吸をしていない様に見えて声を掛けた。

「っはぁ! だ、大丈夫です」

 やっぱり息を止めていたみたいで、息を整えている。

「美来様……何だか凄くお綺麗ですね? 何かありました?」

「へ⁉」

 思わず大きな声が出た。

 綺麗と言われて何か変わったかと問われたら思いつくのは一つだけ。

 幹人くんと付き合えたこと。