「もしかして、もう一つあったこの毒は私に使う用だった?」
暗器とともに、解毒薬の他にもう一つ瓶があった。
それは毒々しいほど赤く、良いものには見えなかった。
その瓶を見てアリーンはすごく嫌な顔をしたし、サリーンは思念が読めるのでこの毒が私に用意されていると分かると憤慨していた。
「私が、こんな毒をユウに飲ませる隙なんて絶対与えないけど! 準備すること自体が許せない!」
そう、プンプンと顔を真っ赤にして怒っていた。
「私には、仲の良い隣人がいるのよ。可愛らしい子達なのだけれど、この瓶を見てからすごく怒ってるの」
そう言うと、彼女には見えないだろうに部屋の空気が変わったのが分かったらしく、表情に危機感を滲ませた。
少なくとも、彼女はこの国で過ごして女官になっている。
本来、やらざるべき事を犯したのは理解しているらしい。
空気の変化は分かるくらいには、隣人達とも接していたんだろう。
それなのに、このような事件を起こすなんて。
植え込まれた意識というのは、幼い頃から故に変革は難しいのだろう。
しかし、今回のは捨て置けない。
王族への暗殺未遂なのだから。
そして、そのジャッジは私には下せない。
この国の司法や、刑を決める人達に委ねるしかない。
だから、私は彼女を引き取りに来たクリストフさんが引き連れた騎士たちが見えた時に言った。