婚約発表の三日前嫌な報告がもたらされてミレイド家ではマリアさんもクリストフさんも一気に忙しくなり、ベイルさんもそれは同様となった。

私は学園で様々な魔法を学び着々と自身でも扱えるようにと、訓練を重ねていた。

そんな時、私にも王宮への参上を求められて忙しいであろうに、その書状を持って迎えに来てくれたのはベイルさんだった。

「ユウ様。誠に申し訳ありませんが、この書状を読みましたら至急私と一緒に王宮へお越しください」

かなりの急な要件であろうことは、その表情からも確認出来たので私は歩き出しながら言った。

「書状は馬車の中でも確認できます。急ぎましょう!」

そう言って馬車に乗り込んでから書状を確認すると、現在の状況や私への要請は実に逼迫したものであり、急いだのが正解だったことが分かった。

「王宮に着いたらすぐ、まずは医官の詰所の王太子様のところに向かいます」

私の言葉に、ホッとした顔をしてベイルさんが返事をした。

「ありがとうございます。そのように手配済みですので、お願い致します」