この世界には、私はたぶん魔法絡みで来たのだろうし、魔法が使えなきゃ役立たずのままなのだから。
その後も薪に火をつけてみたり、水浴び後に濡れた服と髪を風で乾かしたりとしていると、辺りは日が傾き、すっかり夕方になっていた。
すっかり魔法に夢中になってしまい、気づけば見知らぬ森での野宿決定に凹みつつも、魔法がある程度使えることが分かったのと、アリーンとサリーンが一緒なので不安はあまりなかった。
「アリーン、サリーン。これくらいしかないけど、食べる?」
私が差し出したのは、ここに来る前の日に作って持っていたマドレーヌ。
学校で課題をしつつ、糖分補給をしようと作って持ち歩いていたもののあまりだ。
「わぁ、とっても美味しそう!」
瞳を輝かせて喜んだのはサリーンだ。
アリーンも興味津々に寄ってきたので、二人に一つずつ渡す。
「じゃあ、ちょっとだけど一緒に食べよう」
私の声に合わせて三人で食べ始めた。