「ユウ姉様、私が聞いた意味は人としてはもちろんだけれど恋をする相手や、結婚する相手として好きか聞いたのよ?」
ちょっとジェシカちゃん、その呆れた表情はとても六歳児じゃないです……。
「だって、この婚約は私の立場的なものへの配慮で仮初だし。ベイルさんから見れば私なんて、お子様みたいなものだし……」
ここに来て、感じてしまった劣等感。
ここの同年代の子達は、皆背も高く体つきもグラマーでとても大人っぽい。
私みたいな凹凸に乏しく、幼い顔立ちの子はあまり居ないのだ。
だからこそ、実年齢より二歳サバ読んでも違和感もないのだけれど……。
そんな綺麗な子達に日々囲まれているし、ベイルさんは綺麗な事務官のお姉さんや、女官さん達の沢山いる王宮が勤務地だ。
私みたいな子では相手にされないだろうことは、想像に固くない。
だって、彼は普段こそ冷静で冷たい知的な美形だけれど、思いやりのある優しい人物だ。
そして、地位もある。
そんな人がモテないわけがないのだから、お子様な私は大人なベイルさんにそもそも相手になんてされないのだ。
事情があって、立場的に断れない案件だったから仮の婚約者になってくれているだけだ。
考えていくうちに、キュッと胸が苦しくなる。