「マリアさん、さすがに今日はベイルさんにかなりお世話になったんです。お茶を飲みつつ、来週の婚約発表についてもお話したいのですが……」

私が言うと、マリアさん、フェミリアさん、シャロンさんは軒並み苦い顔をした後、致し方ないと頷きあってマリアさんがベイルさんに言った。


「ユウが話があると言うから、ほんの少しですからね! ユウは、簡単に、嫁には、やりませんからね!」


マリアさんの区切るような力強い言葉に、頷く我が家のメイドさんたち。

あれ、皆さん結構私のこと受け入れてくれてるんだなと、ちょっとホッコリしてしまう。

そんな中でも、ジェシカちゃんやアラル君は私から離れない。


「これは、なかなか大変そうですねぇ。でもそれくらいの方が、私はやりがいがありますよ」

ニッコリ微笑んだベイルさんは、そう言った後に私に向かって言った。

「ユウ様、お話がおありなんですよね? ぜひ、伺わせてください。今日はもう仕事は終わってますので」

微笑んで手を取られ、私は玄関をくぐりお客様を通すサロンにベイルさんと共に向かうことになった。

そんな背後ではメイドさんたちと、マリアさん、ジェシカちゃん、アラン君で話し合いがなされていた。

如何に私とベイルさんを二人っきりにさせないかを話し合っているとは思いもよらなかったが、その後ジェシカちゃんとアラル君を交えてお茶をしつつ、婚約発表の時の段取りや衣装についてを話し合ったのだった。

衣装はベイルさんが既に発注済で、明日には私の衣装がミレイド家へ届くとのこと。

「衣装は、淡いブルーで揃えました。婚約発表で着て並ぶのが楽しみですよ」

揃いの衣装は、婚約発表だからだよね。

仮とはいえ国王陛下にも認められているし、さっきの学園でも侯爵家の次男坊以下四人もあっさりと引いて行ったし。

「しかしユウ様は実に愛らしく、甘え上手でしたね。あんな瞳で甘えられたら、男は皆期待してしまいますよ? 私の前でだけにしてくださいね」