「えぇ、今は困ったと思ってすぐご相談しなかったことを反省いたしました。来てくださって、とても嬉しく思います」

私はありったけ気持ちがこもったように見えろと、柔らかく微笑んだ。

そんな私を見てベイルさんはちょっと息を飲んだあと、表情を引き締めて四人の令息たちに言った。

「来週正式発表がありますが、ユウ様は間違いなく私の婚約者ですのでどうかお引取りをお願いしますね?」

ベイルさんの言葉に、四人は頷くとトボトボと魔法科の教室から立ち去って行った。

「ユウ様、これで大丈夫でしょう。騎士科に顔を出してきます。その後、今日はうちの馬車で送りますので、一緒に帰りましょうね?」

ベイルさんの柔らかな笑みに、私の心臓はまたドキッと高鳴った。

「はい。お待ちしております」

私の返事に嬉しそうに微笑むと、また私の手の甲に口付けを落として別れを惜しむように数度振り返ったあとで、騎士科の方に歩いて行った。

その後、午後の授業を一時間程受けて、帰り支度をすると教室に迎えに来たベイルさんにエスコートされて、公爵家の馬車でミレイド家へと帰るのだった。