しかし、校内を歩く私への視線が痛いくらい刺さるのは何故って、この黒髪黒目のせいだよね。

金髪、銀髪、亜麻色、赤毛に稀に青っぽいとかこの国の人々の目と髪は派手な色が多い。

そこに黒は目立つのだ。

たどり着いた教員室でも、教師から見つめられる状態に。

そんな中を転びそうな勢いで、たっぷりしたお腹の持ち主が駆け寄ってきた。

「黒の乙女様!! お迎えもせず、大変申し訳ありません!」

お腹に頭がくっつくかという勢いで頭を下げているのが、多分学園を預かっているトップなのだろう。

「学園長さんですかね? 私は過剰な反応を苦手としておりますので、どうかお気になさらず」

思わずひきつった笑みをしつつ、言うと学園長はホッとしたように頭を上げた。

「こたびの黒の乙女様は、大変人柄もよろしく寛容でいらっしゃいますな。では、魔法科の三年生の担任が教室まで案内します。キャレド先生! お願いします」

呼ばれたキャレド先生は、黒のローブのフードを被って顔がよく見えないが、零れている髪は金髪だ。

多分、綺麗なお顔をしていると思われる。

「キャレド・ビーンズです。得意な魔法は土魔法です。では、教室に案内します」

顔は見えないけれど、声は涼やかでよく通った声をしていた。

そうして、キャレド先生の案内で建物二階の端にある魔法科の教室にたどり着いた。

入ると、そこにはテーブルと椅子が綺麗に並んだ空間がある。

馴染み深い学校の教室の光景があった。

黒板の前の一段高いところに立ち、先生から一声掛けられる。

「皆さん、本日より転入するユウ・ミレイドさんだ」

一斉に向けられる目は、好奇心を隠していない。

彼らは私の通り名的な方がよく知っているから、髪と目に視線が集まっているのを私も理解していた。

「ユウ・ミシマ・ミレイドです。皆さんと魔法を学びに来ました。よろしくお願いします」

ニコッと笑って、私は教室内に小さな虹を作って見せた。

生徒達以上に、先生も驚いていた。