「この世界と国の生活に慣れさせるための王立学園編入でしょう? しかし、あの学園はある意味結婚前の貴族達のお相手探しの面もあるから、ユウに変な虫がつかないようにベイルを立てたってことよね?」
マリアさんの言葉に、にっこりと笑ってベイルさんが答えた。
「えぇ、変な家の息子にユウ様が狙われても困りますからね。私は公爵家の次男で騎士団副団長ですから、よその貴族が対抗出来ないコマとしては最強だったのですよ」
そういうことか……。
ベイルさんは私のこともある程度知ってるし、腕っ節も良い。
家格も国内貴族では王族に次ぐ家系の次男、そんな人が婚約者なら周りは手が出せないという事だ。
でも、みんなちょっと忘れてることがあると思うんだよね……。
「ほんと、人間って視野が狭いわよね?」
「そうねぇ。この世界で最強の魔術師で治癒術師のユウに勝てる人間なんて、いないって言うのに……」
ここのメンバーには聞こえないが、アリーンとサリーンが言うように私は魔法が使えるし、それも想像がハッキリ出来るからか魔法で結構色々できる。
なので、そうそう自身の身が危なくなることは無い。
実は、護衛がなくっても大丈夫だと思える程なのだ。
ベイルさんとクリストフさんは見ているから分かっているはずなんだけど、忘れちゃたかな?
「ねぇ、ベイルさん。クリストフさんも、私が魔法使えるの忘れてない?」
思わず、口を出すと二人はキョトンとしたあとで思いっきり表情に出した。
あ、そうだった! みたいな二人の顔を見て私は笑って言った。