「初めまして、ユウお嬢様。私、ミレイド家の家令のレイモンドでございます。当家でなにかございましたら、当主の旦那様や奥様がご不在の折には、私にお話ください」
キリッとした感じは、とっても仕事の出来そうな老紳士。
きっと団長職で不在がちなクリストフさんや仕事もしているマリアさんに代わってミレイド家を支えているのは、このレイモンドさんとフェミリアさんなんだろう。
「はい。分からないことなどあった時はレイモンドさんやフェミリアさんに聞きますね!」
私の返事に、やっと初めて柔らかく微笑んでくれたレイモンドさん。
その笑顔から温かさを感じて、いい人そうでホッとした。
食堂に、食事が運ばれてくる頃クリストフさんとベイルさんがやってきた。
どうやら、お客様としてベイルさんが滞在しているから今日はこの広い食堂らしい。
ここに来る前に見せてもらったファミリー用はもう少しこぢんまりとしたダイニングになっていたので、ちょっとホッとした。
基本、一般人なので庶民感覚はなかなか抜けそうにないなと思っている。
「こんばんは。ユウ様、ミレイド家はいかがですか? 落ち着きそうですか?」
ベイルさんの冷静な表情での問いかけは相変わらずだ。
「えぇ、ちょっと広さや豪華さにはまだ不慣れですが。レイモンドさんも、フェミリアさんもとっても親切でやっていけそうです。ジェシカちゃんもアラル君も可愛いですしね」
ニコッと返すと、やっと少し表情が緩んだベイルさんが、ゆっくりと楽しく和やかに進んでいた晩餐に一球投げ込んだ。