「黒の乙女、ユウ様。我々は、あなたになにを差し上げられるでしょう」

その答えを私はもう考えていたので持っている。

「この国が落ち着いた暁には、私には穏やかな生活ができる環境を用意してくだされば十分です。下手に貴族や王子の妃にとは、望まないでください」

きっと私の魔力は、この国で随一だろう。

もしかしたら、世界でもかもしれない……。

稀代の魔術師にして癒し手として、きっと国外にも名が知れ渡る。

そういった時の重要人物の囲い込みは、相手が女性なら国の重要人物と結婚させてしまうこと。

それで力の国外流出を防ぐのだろう。

いくら、異世界でも私は自分の好きになった人と結婚したいし、その道は勝手に決められたくはない。

なので、ここでその意思はハッキリさせておくことにしたのだ。

「ユウ様は、とても聡い方ですね。分かりました。どのような意見が出ようともユウ様の意思が全てですので、貴族や重臣は私が必ず抑えると約束します」

どうやら、私の意思と意図はしっかり国王陛下に伝わったようだ。

しっかり、頷いてくれたので私も一つ安心したのだった。

「あと、私は十七歳です。ここに来るまでにお話して団長さんに私の後見人になってもらうことにしました」

私の言葉に、陛下はちょっと驚いた顔をして口を挟む。

「私が後見でも良いんだが?」

国王陛下の後見って王族に近い扱いになるよね? それは無茶ってもんです。

こんな広くて、迷子になりそうなところには住めません。

思わず、ちょっと嫌だっていうのが顔に出てたと思う。

そんな時、隣から声がした。