私も、もう少し西洋よりの顔だったら良かったのにね。
こればっかりは仕方ないと、早々に心の内で諦めたのだった。
「ユウ、綺麗にしてもらったな。うちの娘達は可愛くって幸せだな、マリア」
「えぇ、私達は恵まれてるわね」
そんな会話の後、私達は国王陛下への謁見のため、騎士団詰所から王宮へと移動を始めた。
謁見のために移動を始めて、改めて見るとこの王宮……。
すっごく広いよね?
まぁ、一国の王様が住んで、更には国会議事堂とか、議員宿舎とか、警察とか食堂とかもろもろがここ一ヶ所に集中していると思えば、広くて当たり前なんだけれど。
「一人で来たら、絶対迷子になる自信があるよ……」
どこまでも続くかのような回廊を歩き続けている時に、思わず呟けばクリストフさんがサラッと言った。
「今後、ユウが一人で出歩くことはまず無いから大丈夫だろう」
どういうことでしょう? 思わずハテナ顔で首を傾げていると、マリアさんが言った。
「ユウはこの国で、今の現状国王陛下と同レベルの重要人物なのよ。だから、今後は護衛が付くから一人にはならないわね」
なんということでしょう。
異世界で救世主なんて言われて、どうなるんだろうとは思っていたけれど、まさかの国のトップレベルの重要人物扱いだなんて……。
ますます、遠のくわ、私の希望の平凡ライフ……。
ひっそりこっそり地味に平和に過ごすのが、希望なのだけれど……。
どんどんそことは遠いところに、移ろっていてなかなか大変そうでしかない……。
後見人の団長一家は貴族だけれど、私は普通の一般人で育ったから、不安しかないわ。
頑張るしかないんだけどね、帰れないんだし……。