「ですので、早急に我が国に黒の乙女が顕現した旨を、周辺各国に知らしめねばなしません」
もしや、私これから結構大変なことになるのかな?
平穏無事に暮らせるようになるのは、どうやら当分先になりそうだ。
イベルダは現状周辺国に狙われていて、情勢が落ち着いてないみたいだし。
救世主って言われるくらいなんだから、そういう状況も仕方ないよね……。
出来るだけ、上手いことやれたら良いんだけどな。
戦争は双方に被害が出るから、出来れば回避したいなと思ってしまうのは、平和な国に育ったからかな。
そうだとしても、私にあるのは癒しの術と魔法の力だから。
それを頭使って考えて、平和的解決へと使っていくしかないんだ。
そして、平和になったら街中にこじんまりとしたお家を貰うなりして、ゆっくりのんびり暮らす。
それを目標にして、やれることをやって行こう。
私の中での方針が決まれば、私はここの話し合いがまとまるのを待つばかり。
白虎柄の子猫を撫でつつ待っていると、ジェシカちゃんが割腹の良い女性と共に戻ってきた。
「お待たせしたねぇ、本当に黒髪に黒目なお嬢さんだね。生きてるうちに、黒の乙女に会うことが出来るとはねぇ」
「メリッサおばさん、ありがとう」
「ジェシカちゃんの頼みだからね。今度はお菓子も作っておくからね!」
お茶を持ってきてくれたメリッサさんは準備だけすると、さっさと部屋を出ていった。