翌朝、私はモフっと温かいなにかにスリスリと寄ってこられたことで目を覚ます。
私の目の前には虎柄の子猫が居た。
「ん? 猫? きみ、どこから来たの?」
「ナーン!」
私の問いかけに鳴いて答えた、子猫は人懐っこく擦り寄ってくるので撫ででやると、喉をゴロゴロと鳴らしている。
「外には護衛の騎士さんもいいたはずなのに、いつの間に入ってきたの?」
思わず、抱えあげて目線を合わせて問うも、猫はさぁ? みたいななにも気にしない顔をしている。
「可愛いから、いっか!」
猫とのやり取りをしているうちに、アリーンとサリーンが起きてきて、猫に気づくと言った。
「この子、ユウと一緒に居たくて親から離れて来たみたいよ。一緒に王都に連れてってあげてちょうだい」
アリーンに言われて、私は頷きつつ聞いた。
「この子、もしかして普通の子じゃない?」
それには二人はニッコリ笑って言った。
「いずれ分かるわ」
こうして、王都に向かう途中で一匹の猫が私のおともに加わったのだった。
朝も軽く食べると、今日も初めは団長さんと相乗りして森の中を進む。
ちらほらと、妖精さんの気配は感じるものの、姿は見えない。
「気配はするのに、姿が見えないって気になるなぁ」
ついつい呟くと、クリストフさんが私に聞いてきた。
「なにが気になるんだ?」
「妖精さんの気配はするんだけど、ちっとも姿が見えないから」
私の言葉に、一つ頷くとクリストフさんは言った。
「妖精ってのはシャイなんだとよ。よっぽどじゃない限り見られない。そもそも、妖精の姿が見える人間も珍しいんだぞ?」
なんですと? 私には見える上に、二人もくっついてきてますけど?
驚いてちょっと顔が固まってると、横を一緒に走っていたベイルさんが聞いてきた。