「私も一緒で重かったでしょう? 乗せてくれてありがとうね」
そう、声をかけて撫でると穏やかな瞳と目が合った。
「どうってことないよって返事してるわ」
アリーンがそう教えてくれて、私は再び目を合わせてお礼を言った。
「リオンは優しいね! ありがとう」
ヒヒーンと嘶きまた撫でで欲しそうに見えたので、私は鼻先を撫でてやった。
「すっかり、リオンが懐いてら。こいつ結構気性が荒い方なんだがな。ユウを見てすぐ、気に入ったんだろうな」
クリストフさんの言葉にサリーンが言う。
「動物達にとって、精霊王の愛し子と関わることは栄誉なのよ。喜んで乗せてくれるわよ」
なるほど、そんなものなのか。
簡単なお昼を食べて、別の騎士さんと相乗りになっても次の馬も確かに快く乗せてくれたのだった。
夕方近く、その頃には森の傍に来ていた。
今日は、この森の手前の開けたところで野営になる。
野営となると、色々準備がなされてあっという間に天幕が張られており、煮炊きの場所まで出来ていた。
その間、私は今日頑張って走ってきた馬たちを労って、軽い癒しの術をかけてブラッシングしてきた。
そして、煮炊きの場所に来て驚くことになる。
そこで煮炊き担当の騎士さん達が作っていたのは、ザ・漢の調理って感じでぶった切って突っ込んで煮込みましたってものだった。
「ちょっと待って! これ味付けはなに? お肉下味は? 臭みとらなきゃ美味しくないよ?!」
思わず突っ込むと、騎士さん達はへ? って顔をした。
「ちょっと、見せてね!」
鍋を見れば野菜やお肉が入っているものの、肉の臭みしか漂ってこない……。
私は慌てて妖精の二人を呼んだ。
「アリーン! サリーン! ちょっと手を貸して!」
馬と戯れていた二人を呼んで、このお肉感溢れる臭いを漂わせる鍋を見せる。
「これは、また……」
「ここらの妖精に声をかけたから、ハーブとか持ってきてくれるわ」
妖精にすら顔をしかめられてる品は食べれないと思うので、何とか食べられるように挽回したい……。
そうして、ここの近くにいた妖精さんがハーブやなんと山椒っぽいものも持ってきてくれたので、それらとお塩と胡椒で何とか味付けを整えて、鍋の匂いが美味しく変わってきたのでホッとした所に、クリストフさんやベイルさんがやってきた。