私も、無事に済んでホッと息を吐いた。
「夜は祝賀会だ! みな、よく頑張った!」
こうして、私の異世界での初めての戦争は互いに死傷者を出さずに一応の幕引きが出来たのだった。
その夜、住民と騎士達でささやかに行われた宴。
私は何故か真ん中に設えられた、椅子に座ってこの場を眺めていると、怪我を直した人々が来て、口々にお礼を述べて去っていった。
小さな、おませな男の子にはほっぺにチュッと挨拶みたいなキスを貰った。
可愛いので、ギューッとし返しておいた。
「ユウ様。この度は、誠にありがとうございました」
ここに来て、私を村からここに案内したジェラルドが挨拶に来た。
「いいえ、私の力が役に立って良かった。今後も気が抜けないだろうけれど、これジェラルドに預けるから。役立ててね!」
私は、あの悪意のある人物判定装置の水晶をジェラルドに託した。
「必ずや、無駄に致しません。ユウ様、またお逢い出来る日を楽しみにしております」
そう踵を返して、去っていった。
とっても精悍で逞しく頼りになる人だった。
いつかまた会いたいものだ。
私は、明日にはこの砦から王都に帰還する王国騎士団と共に王都へと移動することになっていた。
ここの街並みが、綺麗になった頃また見に来れたら良いなと思ったのだった。