「すまんすまん、ユウはちっこいから気をつけないとな!」
ははは! と実に豪快に笑い飛ばす団長さんに、副団長さんはジロっと睨んで言う。
「団長は大雑把すぎます! ユウ様は救世主たる黒の乙女ですよ! もっと丁重に!」
うん、なんか二人の日常が見えてきた気がするよ。
この二人、いつもこんな言い合いしてそうだもんね。
周りの騎士さん達も気にしてないし、多分そうだろうと思う。
「ちょっと強かったけど、私は団長さんみたいに接してくれると嬉しいかな。畏まられても、こっちも困るし」
そんな私の言葉に、団長さんはニカッと笑ってヒョイっと私を抱えあげて言った。
うん、抱えられるような年齢ではない気がするんだけど……。 この片腕抱っこは完全に子ども扱いだね?
「そういや、ユウはいくつなんだ?」
「私? 十九歳だけど。ここだともう、成人してたりする?」
ここは異世界。自分の世界とは成人基準が違う恐れがあるので、聞いてみた。
こんな子ども抱っこ状況でする話かな? 団長は天然さんってことにしとこうかな……。
ちょっと遠い目をしていると、団長さんはしっかり教えてくれた。
「イベルダでは十八が成人だな。ユウも立派に成人だ! でも、見かけはまだまだ子どもにしか見えんな!」