「黒の乙女!お探ししました。団長が目覚めまして、黒の乙女に目通り願いたいと申しております」

恭しく、頭を下げられて私は戸惑いながら答える。


「団長さん、目が覚めたんですね。ジェラルドさん、そんな畏まらないでください。私はジェラルドさんより年下だろうし、畏まられると、居心地が悪いです」


私の苦笑いを受けて、ジェラルドさんは少し戸惑いつつも、頷いて言った。


「分かりました。ですが、黒の乙女はイベルダに伝わる救世主なので、なかなか難しいですよ」


そうして、私は再び朝一で訪れた団長さんのお部屋にお邪魔することになった。

たどり着いた団長さんのお部屋では、騎士服に身を包んだ元気なガチムキマッチョな男性が地図や書類を片手に部下の騎士さんから報告を受けているようだった。


「失礼致します。クリストフ団長、黒の乙女をお連れしました」


部屋に入ったところで、そう声をかけると部屋に居た人々の声も動きも止まった。


「おう! ジェラルド、よく連れてきてくれたな!」


快活に話す大きなマッチョさんが、どうやら団長さんらしい。

治癒してる時から思ってたけど、この団長さんめちゃくちゃ大きくてムキムキだよね。

 アメフトの選手みたいなガタイの良さ。 大きくて厚みがあると言えばいいのかな?

私の周りにはここまで大きい人も、マッチョな人も居なかったので、ついついジーッと眺めてしまった。