「みんな、治って!」


キラキラとした淡い光は、砦全体を包み込み、淡い光が消えるころにはここに居た人々はしっかりと怪我が治っていた。

治癒魔法、便利だなぁ。使うと結構疲れるけれど。

私の疲れた顔を見つつ、アリーンは言った。


「ユウが使った範囲に人が多かったから疲れているだけよ?団長さん一人の時は重症だったけど、そこまで疲れなかったでしょう?」


アリーンの言葉に頷けば、サリーンが答えてくれた。


「だから、広範囲に魔法を使う方が大変だし、魔力の消費量も多いの。ユウはかなりの魔力保持者だけど、だからこそ上手く使い分けてね!」


なるほどね。初めて使った広範囲魔法、身をもって体験していい勉強になったわ……。

こうして、慌ただしく着いた先の砦で私は初めての治癒魔法を成功させたのだった。

その威力が、この世界において、とてつもないものだったことには気づかずに……。


治癒魔法のあとは、怪我人に使った汚れた布の洗濯。

煮炊きの手伝いに、子ども達の相手をして過ごした。

あっという間に夜を迎え、各所にかがり火の焚かれた砦は夜とはいえある程度の明るさがある。

子ども達も夜は砦に入って、一ヶ所に集まって寝て過ごす。

子ども達の中でも年長な子達が小さな子達までまとめて面倒見ているようだ。