さて、人生初の乗馬についての感想を言うならば、これしかない。
「まさか、こんなにお尻が痛むなんて……」
超速で掛けてく馬の上は、とてもではないが居心地は最悪である。
それでも、これくらいで済んだのはサリーンが風で補助してくれてたおかげだと知って、涙ながらにお礼を伝えたのだった。
「行きもだが、帰りも馬がこんなに早く走るとは……」
そんな騎士さんの呟きには、アリーンが私にぼそっと言った。
「私が馬の疲労や負担を減らしてたからね。そりゃ元気に走るわよ」
えっへんと胸を張って、どーだと言わんばかりのアリーンにはケジャさんの所で貰った小さな砂糖菓子を渡しておいた。
本来、一日駆けてたどり着く砦までを、妖精達の補助で、半日いう無茶な駆け方でたどり着いた。
たどり着いた西の砦、そこは私の想像を絶する光景が広がっていたのだった。
自分が如何に平和な世界で生きていたのかを、ここに来て痛感した。
私の目の前には、争いあい傷つく人々の姿があったのだった……。