男の人は私を引きずってたどり着いた村の真ん中の家のドアを叩いて、大きな声で呼びかけている。
「お婆! お婆! 大変だ!!」
かなりの声量だったので、お家の中から直ぐにこちらに向かう足音がして、ドアは直ぐに開かれた。
ドアから出てきたのは、少し腰を曲げたおばあさん。
「まったく。朝から騒がしいよ、ボドム。なにがあったって言うんだい?」
おばあさんは、出てくるなり少し迷惑そうに言うのも構わず、ボドムと呼ばれた男の人は話し出す。
「こ、この子! 精霊の森から来たって!!」
ボドムさんの言葉を聞いて、おばあさんは私を見ると驚いた顔をして、そして声を掛けてきた。
「おや、まぁ……。 言い伝えもバカに出来ないもんだねぇ。 お嬢ちゃん、妖精を連れてるね?」
おばあさんの言葉に私も驚きつつ、返事をする。
「はい。見えるんですか?」
「姿までは見えないよ。私にはただ、キラキラと光る粒子がチラホラ見えるだけさね」