「ん? お前さん、こんな辺鄙な村にどこから来たんだ?」


私を見て、細めだった目を開いて驚いたように言う男の人に私は答えた。


「そっちの森から来たの。ここになら人がいると聞いて……」


異世界から来たことを言っていいのか、分からずとりあえずの答えを言うと、男の人は細い目をめいっぱい見開いてさらに驚いて言った。


「不可侵の精霊の森から来ただと!? お前さん、この世界の人間じゃないな?」


えーっと、私がいた森。

精霊の森で、不可侵の領域だったらしい……。

アリーン、サリーン。 そういう大事なことは教えておいてよ! と内心叫んだが、もう仕方ない。 バレてるんだし、サクッと話しちゃうことに決めた。

私って、結構肝座ってるよね……。


「はい。どうも召喚されたらしいです。私に付いてきてくれた妖精が、教えてくれました」


そんな私の答えに、大きな男の人は慄いて、そして私の腕を掴むとドアを閉めて大慌てで走り出した。

私はなす術もなく、引きずられて村の真ん中の小屋に連行されたのだった。