木々が覆い、少し薄暗いので光を出して周囲を見つつの移動だ。
光は、電球をイメージしたらポッと光る球体になった。
この世界の魔法、ちょっと、いやかなり便利すぎる……。
そうして、朝から歩きつづけて小腹が空く頃には、森を抜けて小さな集落にたどり着いたのだった。
そこは広さ的には学校の校庭位の広さがあり、小さめの小屋が三つと小さな畑があるのどかな光景の村だった。
だって、自由にニワトリに近い鳥っぽいのも歩いているし。
日本のどこか田舎にもありそうな光景だ。
ただ、小屋はレンガ造りでしっかりしていそうだし、ここは魔法が使えるので、きっと少ない人々でも快適に過ごしているんだろうことは、建物や周囲の柵が綺麗なことから察しがついた。
一番端にあって、森の近くの小屋のドアの前に立って、私は一つ大きく息を吸って吐き出したあと、ノックをした。
「ごめんください! どなたかいらっしゃいますか?」
私のノックと声に、中から音がして木戸が開いた。
そこから顔を覗かせたのは、大柄な体躯のモジャっと髭を生やした男の人だった。