「ユウ様。私はあれこれと都合をつけて言いましたが、あなたの婚約者には陛下に直談判して収まりました。一目で、あなたに惹かれていたから」

ベイルさんから聞いた言葉が、予想外すぎて思わず固まってしまう。

そんな私の手を取り、ベイルさんは私を真剣に見つめて言った。

「仮初なんかではなく、私は本気であなたを愛しています。あなたに私の妻になって欲しい。私を好きになって欲しい。そう思っています」

真剣な瞳と声、私の手を掴む手は緊張からか、少し冷たい。

ベイルさんは、言葉を重ねる。

「意気地無しな私を、詰って構いません。いい大人が、年の差に恐怖して仮初でも押し切ればなどど、卑怯でしかありませんでした」

そこまで言うと少し俯いたあと、ベイルさんはまた顔を上げて、私と視線を合わせて言った。

「嘘をついた私では、信じられないかもしれません。ですが、私はあなたを愛しています。この先あなた以外は愛せないでしょう」

そして、ひとつ呼吸を置くと言った。

「たくさんの愛を、これからは惜しみなくあなたに注ぐことを、許される立場を私にくれませんか? 結婚してください」