誰もが想像するよりも、かなりの速さで予測されていなかった無血の終戦にイベルダでは歓喜に満ちていた。

敵国の指揮官を捕縛して陣地に戻れば、苦笑を浮かべたクリストフさんに迎えられた。

「やはり、ユウは規格外だな。戦争を無血で解決するとは。歴史書に名を残す偉業だ」

そう言われながら私はクリストフさんに撫でられた。

「残らなくっても良いんだけど、多分残るよね……。まぁ、仕方ない。平和になるなら、それが一番だからね」

その後、捕縛した西の指揮官は目覚めれば敵陣に捕えられていてどうにもならず、自陣は崩壊しており戦況は敗戦濃厚であり立て直しも効かないと悟り、両手を上げて敗戦を宣言した。

こうして史上稀に見るという、無血最短の戦終結となった。

その後の処理はクリストフさんや、ベイルさん、ガルム宰相や陛下におまかせした。

私は、政務は全くわからないから。

とにかく今後戦が起きないように、国同士で決めてくれたらいいと思っている。

メルバも砦に戻れば、砦を守った英雄として子ども達から益々大人気になり、遊んであげていた。

実に、面倒見のいい人懐っこい聖獣様である。

怖いところなんて見当たらないが、魔法の威力は抑えていても、あれだけの暴風で人を囲うのだからきっとこの世界では最強だろう。