隣人達はこの国に住む人々が好きだと言って、私が頼むと喜んで協力してくれた。
私は、彼らと彼らの得意分野で仕掛けを施すことにした。
例えば、くしゃみの止まらなくなる花粉が撒き散らされるようにする仕掛けとか、同じく涙が止まらなくなるものとか、とある地点に入ると土が液状化して足がハマって抜けなくなるとか、コンクリートの壁出現とかだ。
そして、足止めしている間に相手方の戦力を無力化するつもりでいる。
眠り粉で寝てもらうために、風を操り敵方に眠り粉を蔓延させて風で封じ込めて、寝たところで全ての兵を捕縛する。
そうしたあと、その中から司令塔クラスを選別して叩き起し、現状を把握させて敗戦宣言をさせて帰還させる。
そんな予定だが、それでも認めない時は最終手段も辞さないつもりだ。
私ができる手段はどれでも使って、この国の優しい人達が安心して暮らせる環境を作る。
そのための力だと思うから、今回は私は遠慮なく自身の力を使う。
そんな、仕掛けが完了した頃にベイルさんとクリストフさんに呼ばれた。
「ユウ、一体ここ数時間で砦近辺で何をしていたんだ?」
その問いに、私は仕掛けた内容を伝えると、とっても嫌そうな顔をして言った。
「助かるが、自営の騎士や魔法師や住民達は大丈夫なのか?」
ご尤もな問いかけには、メルバが実に誇らしげに言った。
「砦の最終防衛ラインから五十メートルの距離に仕掛けてあるので、こちらに害はない。そんな危ない仕掛けを作るわけなかろう?」