そんなやり取りをしつつ、砦近くの住人と和気あいあいと過ごしているうちに、一緒に来ていたのにあっという間に後続にしてしまった王国騎士団の面々がやってきたのだった。

もちろん、今回一緒に来ていたクリストフさんとベイルさんには、容赦なく私とメルバは並んでお説教を受けることになった。

だって、メルバは風のように走るし馬と違って振動もないし、乗り心地最高で気づくと馬が追いつけない速度で移動してしまうのだ。

「ごめんなさい。メルバの足は早いし安定してるから、つい速度にのって走ってしまうんだよね……」

その、私の言葉に同意するように、パタン、パタンと尻尾を揺すっているメルバ。

そこに、ニコッと笑ったベイルさんと視線が合った途端、私とメルバは背筋に悪寒が走って、即刻言うことになった。

「ごめんなさい! もう、最速で駆けません!」

という、反省と宣誓を。

笑顔で怒るという、ベイルさんには勝てません。

メルバすら怖がるって、相当だよね……。

もしかしたら、ある意味ではベイルさんが最強なのかもしれないと思ったのだった。

そんな移動してきた日から、三日後には開戦となる。

それに伴い私は可愛い隣人たちと、メルバと砦周辺にありとあらゆる仕掛けを施すことにした。

それは遠距離にも近距離にも対応出来るような、様々な仕掛け。