「我は精霊に近く、妖精より高度な魔法や力を持つものだ」
アリーンやサリーンの声は聞こえないが、現にそこにいるホワイトタガーなメルバの声に関しては、ここにいる全てのものに聞こえてるらしい。
私とメルバが会話している間、陛下も、王妃も、王太子も宰相も固まってしまった。
「やはり、普通の猫じゃなかったか……」
そう呟いたのはクリストフさんで、それに頷いて同意していたのがベイルさんだ。
「えぇ、たまに猫から殺気飛ばされましたからね……」
なんか聞き捨てならない事を聞いた気がする……。
私は聞かない訳にはいかずに、口を開く。
「メルバ、殺気なんて飛ばしてたの?」
私の胡乱な目線にも、ん? なんのこと? みたいな表情をしてメルバは言った。
「なに、我のユウを困らせとるから、ちーっとばかり、ビビッと飛ばしてしもうたかものぅ」
聖獣の殺気なんてちょっとばかしで飛ばしちゃだめだろう……。
「メルバ、この部屋の人々も私の周りにいる人々も大切な人達だよ。殺気飛ばすのは、戦の相手だけにしてちょうだい」