「そうです。最前線はそういう場所です。だから私はその近くに暮らす人々を守り、癒すために行くのです」

キッパリと言い切る私に、王族と宰相閣下は私を見つめて動けない。

そんな国を動かすトップたちに私は自分の素直な気持ちを言葉にした。

「西の砦の人々はわけも分からず、見ず知らずの私が現れて、助けられたとはいえ他人にも関わらず暖かな毛布と、そこにあるもので一番いい食事を私に与えてくれたのです」

私の言葉に、陛下も宰相も目を見開いた。

この国の人々は自身が苦しい中でも、自分以外の人に優しく手を差し伸べることの出来る人々がいる、優しく思いやりに溢れた素晴らしい国なのだ。

それは他所から来た私が一番驚き、嬉しさ喜びと共に尊ぶべきものと感じたことだ。

人に優しくできる人々の多いこの国は、だからこそ守らなければならない。

自衛をしていても狙われてしまう魅力あるこの国は、精霊や妖精にも愛されている。

それはこの国の人々のあり方、気持ち、過ごし方にあるのだ。

彼らは見えなくとも確かに存在する隣人に敬意を払っているし、認めているのだ。

だからこの国の人々に妖精も、精霊も優しく見守っているし彼らからの些細な手助けだってあるのだ。