こんばんは、地上のみなみなさま。

 すっかり帳のおりた暗い夏空から失礼いたします。
 わたくし、はぐれ兎のナナオと申します。

 なぜ兎風情がこうして人語を語り、少女のなり形をとり、天高くふわふわ浮かぶ笹舟を漕いでいるのか不思議にお思いの方もおいででしょう。

 疑問はごもっとも。兎というのは月におるもの。それが全う常識でございます。

 わたくしも、もとは月でお餅をついておりました。

 ぺったん、ぺったん、ぺったんこ。
 来る日も来る日もぺったんこ。