たちまち、レジャーシートの上がちょっとした

パーティーのようになる。

僕は自分が食べたいカレーパン(2つ)の

他に、焼きそば、唐揚げ、みんなでつまめそうな

フライドポテトを買ったのだけど、弥凪と咲さん

はサンドイッチに生クリームがサンドされた

メロンパン、揚げタコ焼き、どこで見つけたのか

メープルチーズケーキ(ホール)、なめらか

プリンと、スイーツ系がほとんどだった。

それに対し、町田さんがビニール袋から取り出し

たのは、焼き塩鯖サンドと2リットルのウーロン

茶、カルピスウォーターのみで、「それだけ!?」

と、みんなが目を丸くしたのは言うまでもない。

「俺は小食なの。だから、飲み物担当ね。

はいコップ」

レジャー慣れしているのか、町田さんは荷物から

プラスチックのコップを取り出すと、口を尖らせ

ながら、みんなに飲み物を配ったのだった。

それから僕たちは、それぞれが食べたいものを

食べながら、取り留めのない話をした。

僕と弥凪の馴れ初めは、二人ともとっくに知って

いるし、僕と町田さんが就労移行支援の場で

働いていることも、咲さんは知っている。

だから、合コンのように堅苦しく自己紹介を

する必要もなかった。

彼女が准看護婦として診療所で働いている

のは初耳だったけれど、何となく、白衣に

身を包んだ咲さんの仕事ぶりは想像出来た

ので、町田さんと二人、彼女の白衣姿を思い

浮かべながら思わず頷き合ってしまった。




「それにしても、二人とも背が高いですよね。

身長、いくつくらいあるんですか?」

唐突に、咲さんが僕と町田さんの顔を交互に

見やりながら、そんなことを訊いて来た。

もちろん、手話による同時通訳付きだ。

「身長ねぇ、最後に測った時は181だった

かな?高3の時だけど」

そう言いながら、町田さんは最後の一口に

なった焼き塩鯖サンドを口に入れる。

僕も、首を捻りながら答えた。

「僕も、大学の時の健康診断が最後だけど、

確か182だったような」

ということは、測った年月から考えても身長

は二人ともほぼ同じ、ということだろう。

ついでに、職場では“もやしコンビ”と呼ばれて

いることも付け加えようかと思ったけれど、

それを口にする前に、咲さんがしゃべり出し

たので、僕は言葉を飲み込んだ。

「そっか、二人とも180超えてるんだ。

凄いなぁ。わたし、小柄だから羨ましいです。

羽柴さんと町田さん、背格好も雰囲気も似て

るから、二人で並んで歩いてると兄弟に見え

ますよ。ね?弥凪」

屈託のない笑みを浮かべながら、咲さんが

僕の隣に座る弥凪に話を振る。

弥凪はこくりと頷くと、(似てるよ)と、

手話で言った。