中絶をした数日後、母親はわたしにLINEを送ってきた。
【もう堕ろせなんて言わないから、一緒に病院に行こう】

その言葉にわたしは[もういない]とだけ返す。
母親からの返事は当たり前のように無かった。
期待はしていなかった。



その3ヶ月後、わたしと大矢さんの関係は破滅する。
中絶後、わたしは大矢さんと性行為が怖くてできなくなってしまっていた。
やれないと分かったあなたはその後、「終わろう」とまた呟いたわたしのひと言に「分かった!」とだけ伝え、あっさりわたしたちの関係は終わった。

わたしたちの関係の終わりはLINEの1往復のやりとりで終わらせることができた。
あんなにも何ヶ月も悩み、苦しみ、もがいたわたしの努力が無駄だったことを痛感した。
殺すことを防げた命が音もあげずに死んで、死にたいわたしが声を上げて泣いた。

大矢さんの奥さんに訴えられることは無かったが、毎日明日裁判所から封筒が届くかもしれないという恐怖が付き纏っていた。

もう2度と、こんなに苦しい思いをしたくない。
もう2度と、誰かを不安にさせたり、苦しめたくない。

ごめんなさい。
申し訳ございませんでした。
2度と近づきません。
2度と視界に入りません。

だから、
どうか、
もう1度だけ。

息を吸って、吐いて、
この人生を歩かせてください。

当時、23歳だったわたし。
24歳の1年間は彼を忘れられず、その後も悪水の中に飲み込まれたわたしの身体は這い上がることができず、1年後の25歳の時、あることがきっかけでその2ヶ月後に自殺する。