いきなり拗ねたような声を出す優奈



「どうした?」



頬を膨らませて怒っている優奈はある1箇所をジーッと見ている



その視線を辿れば



「……あ」


私は松本くんと手を繋いでいたことに気付き、パッと離した



そしてようやく松本くんもその事を理解



「優奈、嫉妬したの?」



松本くんが嬉しそうに優奈に駆け寄る



「うん…碧は私のだもん…」



ギュッと松本くんの襟を掴む優奈



こんな事されたら確かに松本くん壊れそう



「……ってか俺が好きなのはずっと優奈だけだよ。じゃ、またね彩ちゃん」



恋人繋ぎで去っていった2人



お似合いだなぁ



誰に対しても同じ扱いだから嫉妬されやすい松本くんに、素直すぎて彼氏を困らせる小悪魔な優奈



うん、最高のカップル



2人のことを考えていると、教室に着いた



もう誠也は着いてるよね



教室に足を踏み入れ、自分の席に向かえばいつも通り隣には誠也を囲む集団があった


それを横目でみて、机に教科書を入れる私



……カサッ


はぁまたか……



誠也にバレないように“ソレ”を取り出し、教室を出る



一応確認……



“放課後屋上”


やっぱりこれか



今日に始まったことじゃないけど、最近この果たし状みたいなのが届く



ちょうど、誠也と隣同士になってからかな……



まあいつも無視してるし、今日もそのつもりで行く



だからあまり心配していなかったんだけど、まさかあんなに手こずるとは……