「……どうして泣いてるの?」



「えっ…あ、すいません。泣いてました?ただゴミが入っただけです」



心配そうに私の顔を覗きこみ、優しく涙を拭ってくれる



おまけに大丈夫?だなんて…


やっぱり違ったよ


誠也とは全然違う


誠也は涙を拭ったりなんてしない



ダメだな…私…誠也のことばっか考えてる変態じゃん…



「ごめんなさい…もう大丈夫です」


「そう?よかった」


「あの…名前聞いてなかったんですけど……」



「王見隼斗だよ。よろしく」


「王見くんね。私は椎名彩」


「彩か。呼び捨てでいい?俺の事も呼び捨てでいいから」



「…いいよ?隼斗って呼べばいいの?」


「そ」


「なんか新鮮」


「なんで?」



「私にも仲良しの男友達がいるんだけど、その人は苗字呼びだから」



「そうなんだ。……なんか名前で呼び合うと親近感湧くかなって思って」


少し恥ずかしそうに言う隼斗が可愛い



「そうだね。私も…そう思う」



「よし、出来た!ごめんね、あんまり上手くなくて」



そんなことを言いながら、ちゃんと消毒もされて絆創膏まで綺麗に貼られている私の人差し指



「めっちゃ上手いよ。もしかして保健委員?」



「なんで分かったの?彩ってもしかしてエスパー?」



ほんとに不思議そうに聞き返すから、笑ってしまう



「隼斗ってやっぱり天然だね。面白い。元気でたよ」



「ふはっ何それ!」


おかしそうに笑うから、私も笑う



「俺、彩と喋るの好きかも。このまま5限と6限サボらない?」