そう思って猫を強く抱きしめ、来る痛みに覚悟し目をつぶる



……けどあれ……来ない



むしろ、誰かに抱き抱えられてる…?



目をゆっくりと開けば、私の顔のすぐ近くに整った顔が1つ



「大丈夫?」



そして王子様スマイルで尋ねられる



フルフルと頭を軽く振り、自分が今どんな体制か気付く



イケメンにお姫様抱っこをされている……?



「ごごごめんなさい!!私おっちょこちょいで!ありがとうございました!下ろしてください!!」


早口で言えば、クスッと微笑んだイケメン



「上向いたら女の子が落ちかけてるんだもん、びっくりしたよ」



笑いながら私をベンチに座らせてくれたイケメン



「……あれ、そういえば猫は…」



いつの間にか腕からいなくなってる猫



「あ〜猫なら何処か行っちゃったよ。君がアタフタしてるうちに」


「そうですか。…無事で良かった」


「…指、血出てる。痛いでしょ、保健室行こう?」


私の手首をそっと持ち上げて視界に入るようにされた



「わ…ほんとだ。気付きませんでした」



猫の噛み跡がくっきり残って、そこから血が出てる



「歩ける?」



「噛まれたのは指だけです。足は全然痛くないですよ」



心配そうに全身を見つめる彼に思わず笑いがこぼれる



もしかして天然なのかな



すぐに保健室に着いて、テキパキと指の手当をしてくれる彼



誰かに似てる……


あ…誠也だ…



さっきの出来事が脳裏に浮かび、また涙腺が緩む



何回目だろ…これっ…


ねえ誠也…


私、誠也の事考えてると泣き虫になるみたい



どう責任とってくれるのよ…