「はぁ…はぁ…」



息を切らしながらベンチへと腰にかける



「痛い…いたい…よ…」



ギュッと、何かに握りつぶされそうな胸を服の上からクシャッと掴む



今すぐにでも



会いたくてしょうがない



好きだって伝えたくてしょうがない



だけど彼は私の事が好きじゃない



告白しても振られて



私が泣いて、彼に軽蔑される



ただそれだけだ



それならいっそ、伝えない方が自分のため



なのにどうして…こんなに苦しいんだろう…っ…



私はどうすればいいんだろう……誰か……教えてよっ……



こんなに苦しいなら…恋なんて…したくなかったー……



「……泣き疲れちゃった…」



裏庭で1人泣きじゃくった私



誰にも見られる事無く、思いっきり泣ける場所



だから……見られてるなんて……思ってなかった……



……ーガサガサ



後ろで木が揺れる音がする



「誰かいるの……?」



後ろを振り向けば、木の枝に



「……猫?」



綺麗な白い毛を纏う猫の姿があった



ブルブルと震えてこっちを見ている猫



「……降りれないの?」



問いかけてみるも、当然返事なんて返ってこない



「ちょっと待っててね。今…助けるから」


「よいしょっ…」


ベンチの上に立ち、腕をめいいっぱい伸ばす



「…ほら…届く……?」


恐る恐る私の腕の中におさまっていく猫


「よーし…よく出来ました……って…痛っ…?!」



ガブッといきなり強く噛まれた指



痛みで思わず体制を崩す



落ちるっ…