《2年前》


「仁奈、おはよう」

「おはようございます」

朝起きたら院長に挨拶するのが1日の始まり。
私は仁奈【にいな】という。

私は1人ぼっちだった。
気がつけば孤児院にいて、孤児院の仲間が家族で…家族?

私って一体誰なんだろうね。

なんのために生まれてきたんだろう?


私は5年前にどこかの駅で1人で泣いていて、連れられたのが孤児院だった。

私に付けられた名前も本当の私の名前なのか分からない。

当時の孤児院の院長がつけたみたいだからね。
歳も、分からなかった。

歳は、同じような子と一緒の18歳としている。今はね?ねぇ誰か教えて?一体私は誰なの?

そんなことは誰一人として知らない。


そう、私でさえ。

この孤児院には時々お客様が来る。
そして身寄りの無いお友達は貰われていくのだ。



さぞ、幸せなんだろうなと思いながら見送る院のみんな。



「よかったね!」「幸せになってね!」



ああ、馬鹿馬鹿しい。




なんでこうも滑稽に見えるのだろうか。
気持ちわるくてしょうがないじゃないか、、
ねぇ?あなたもそう思うでしょ?


みんなして、ヘラヘラ笑って


こんなの誰にだってできるでしょ。

馬鹿みたい。


私は私が誰か分かればここを出ていけるのかしら……