「ひまりちゃん。私の身代わりになってくれてたとは知らないで、突っかかっちゃってごめんね。さっき、蓮兄に聞いたわ。」



杏奈さんは前座席から身を乗り出すような体勢で振り返って、後ろに座っていた私に話しかけた。



「いや…えっと、大丈夫です。」



そもそも、私はあまり人と話すのが得意ではない。


三人と暮らすことになった時も
そこだけは苦労した。


もともと寡黙な兼さんとは大丈夫だったけど…



杏奈さんみたいな明るいタイプの人とのコミュニケーションはより苦手だった。