想像以上の状況に言葉を失った。


話終わった杏奈にどうやって声をかけてやったらいいのかすら分からなかった。


有なら…
なんて言うだろうか。



「ひいた?」

「え?」

「本当にバカだよね。結局なんにも出来なかったのに。」


杏奈は髪をかき上げながら、顔を伏せた。


「ただ、知りたかった。ママ達がなんで死んだのか…」

「杏奈…」

「ごめんね、勝手なことして…」



少し痩せたのだろうか。

天真爛漫だった杏奈が急に小さく見えた。



「本当…バカだ。」

「蓮兄…」

「…どれだけ心配したと思ってるんだ!俺は事故の真相より…お前が大事なんだ。」


杏奈を引き寄せると
膝に抱きとめた。


「たった一人の家族だろ…」

「…蓮兄もバカだね。有とジュンちゃんもいるじゃんか。」


そう言いながら、杏奈は俺にしがみついて、あの日のように大泣きした。