「私…外で待ってるね。」


小池さんのメモに書かれた住所には
古びたアパートが立っていた。


私が住んでいたアパートと同じか
それ以上に年季が入っている。


あんな綺麗な杏奈さんが
何ヶ月もこんな所にいたのだろうか。


どうしても彼女の強い意志を感じた。


彼女のその強さに対面する度に
私は自分の弱さを実感する。


「ああ、すぐ戻る。杏奈を連れて…。」


蓮兄は大きく深呼吸すると
ゆっくり一段を踏みしめるように階段を上がっていく。


蓮兄もまだ少し不安なのかもしれない。


でもきっともう大丈夫。
杏奈さんに会えばきっと…。


そして
私はどうしようか。