「俺…お前が欲しい。」


俺の言葉に、顔を真っ赤に染める。


…ほんと、そういうとこだって。

これ以上(あお)るなよ…



「…杏奈さんのことで混乱してるだけだよ。」

「違うって。」

「じゃあ、なんで私なんか…」



ほんとにこいつは何にも分かってないな。


杏奈はあの容姿で
男を惹きつける力があった。


ひまは、また違う。


最初に会ったときは
その境遇からなのか、殻にこもっているような感じだった。


話し方とかも、ちょっとツンとしてて棘があった。


でも
今はその柔らかさに触れたくて…


君が笑うだけで

そこにいてくれるだけで
心が落ち着くような気持ちになるんだ。