杏奈はあっという間に弁当を完食すると
畳に転がった。


「やっぱり…その女に会ってこようかな。」

「…さぁな、自分で決めろ。」


杏奈を名乗っている女性が、杏奈を探しているのは、

きっと吉沢蓮たちが、杏奈の行方を探しているからだ。


杏奈が帰ってくるのを待っているのだろう。


ならば、自分で会って話せば解決するに違いない。


だけど、それを言ってやればいいのに
なぜか言いたくなかった。


俺は少しこの女を手放したくないと思い始めている。