「有にはまだ言わないで…」

「うん…」


あれから何時間経っただろうか。

私達は、まだ車の中で寄り添うように座ったまま。


兼さんは何も言わずにずっと運転席に座っている。


「杏奈はさ…強いんだよ。俺が思っているよりずっと。」


蓮兄はきっとまだ杏奈さんの無事を信じているように見えた。


「もう少し…待つよ。」


小池さんの言っていたことは本当のことかもしれない。


でも
違うかもしれない。


「ひまり…帰ったら、普通にできるか?」

「うん。私…大丈夫だよ。」