部屋に戻って服を選んでいると純大が目を覚ました。


「あ、おはよ…」

「おはよ…」


純大はベッドから手を伸ばすと私の指を軽く握った。



有と何をしたわけではないけど
なんとなく罪悪感というか複雑な気持ちになる。



「今日は…デートだよ。」

「ふふ。分かってます。どこいくの?」

「じゃー…東京タワー。」

「東京タワー…」


前に雑誌のインタビューで純大が好きな子と一緒に行きたい場所を質問されて、東京タワーと答えてたのを思い出した。


「定番すぎる?」


好きな子…

なんだよね。

すごく嬉しかった。


「ううん、すっごく楽しみ。東京タワーはじめて。」


こんな幸せでいいのかな。


さっきの有の少し淋しそうな表情を思い出して、また少しだけ胸がチクンとした。