声を掛けられるのもいい加減うっとおしくなって、

マンションに帰ろうかと思い始めていた。



有はあの様子だと今日は戻らなそうだし、

それに今逃げたところで、最終的に私の居場所はあそこしかない。




でも


家にはあの子がいる…



ずきん 



何度も思い出してしまうあの日の事。


有とあの子が二人で部屋に行くシーンは
今でも忘れられない。



そっか。
有は、あの子が好きなんだ…



足取りがだんだん重たくなってくる。




有だけじゃない…


純大…蓮兄だって。



本当は
やっぱり相当な女なんじゃないかな…

大人しそうな顔して。



私は全てを失ったような虚無感を感じていた。


なんで
こんなことになっちゃったんだろう。