ベッドに入るといつものように優しくのびる彼の指。



壊れ物を扱うように丁寧にキスを落とす。



「ジュンちゃん…」



いつもはただただ安心して溶けて行くその行為に

胸の奥底に少しだけ不安の光が灯る。




私が四畳半の汚いアパートで


アルバイトをして、ただ生きているだけの私に戻っても


この人を私を好きでいてくれるだろうか。



本当は夢だったんじゃないかと思う時がある。




目を覚ましたら

あのオンボロアパートで

天井にあるシミが少し気になって

だけどいつものように起きて 

ただ生きるだけの一日が始まる…



「ひまり…いい?」



だけど
私を貫くように駆け抜けるこの甘い刺激は


夢じゃないって思わせてくれるんだ。